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みなさんは「キャブレター」と言う単語を聞いて、どのような感想を持つでしょう?「古くてシンプルな構造。」と感じる方もいれば「自分でイジりやすい。」と思う方もいるでしょうし、20歳以下の方だと「何それ?」と言うレベルの感想の方もいるみたいです。そして困った事に、この上記2つの「古くてシンプルな構造。」と「自分でイジりやすい。」と言うイメージだけを捉えて、「キャブは頑丈。」と言う間違った認識を持つ方が増えて来ています。確かに「シンプルで単純な造り。」と聞くと「壊れにくい。」や「頑丈」等と言うイメージを持ちやすいと思いますが実は逆で、キャブは非常にデリケートなのです。「キャブのセッティング。」と言う事場を聞いた事があると思いますが、キャブは温度や環境、湿度等の影響をとても受けやすい構造になっています。コンピューター制御のインジェクションだったら気温や湿度の差を自動的に計算してくれて、その環境に最適な点火状況を作ってくれます。しかしキャブは1回セッティングしたら、そのセッティングを出した環境以外ではベストとは言えない状況です。例えば標高の高い山の中のワインディングで最高の走りが出来るような状態にセッティングされたキャブは、標高の低い街中での走りには向いていません。もちろんどこでもそれなりに走れるようなセッティングも可能ですが、それだとどこでも「それなりの走り。」になります。つまり「サーキットで誰よりも速く走れるセッティング。」を求めるなら、「低回転ばかりを多用する、ストップ&ゴーのみの街乗り。」での使い勝手は諦めないといけない事になります。そして2ストロークエンジン車に多いのですが、それなりのセッティングを出してあったり、古くなっているキャブはエンジンの始動ですら困難な状況があります。キャブ車の全盛期の方だったらご存知でしょうが、あの時代はバイクでツーリングに行く時は「予備プラグと2ストオイル。」を必ずみんな装備していたモノです。理由は簡単で、出先でプラグがカブって始動不能になった時の交換用と、2ストオイルが減って来た時に補充するためです。このようなデリケートな構造ですので、キャブ車は保管や機関維持にも気を遣います。湿気の多い場所での保管はダメですし、定期的に機関維持のために高回転まで回して走らなければいけません。こう言う事を聞くと「古いけどデリケートで、保管も維持も手間がかかる。逆に何が良いの?」と思うかもしれませんが、キャブじゃないと出来ないフィーリングがあるのです。このフィーリングと言うのは非常に大切な事で、ライダーの精神的状況を大きく左右します。事実、ヤマハは2002年にキャブを使用したヤマハ・YZR-M1と言うマシンでMotoGPで2勝を飾り、ランキング2位に輝いています。2002年のYZR-M1の広報発表資料にも、「負圧差を利用してガスを吸い上げるキャブの原理は、あるところではマシンを操る人間側のファジーな部分をカバーする役割を果たします。また、一般にFIに比較するとキャブはガソリン霧化時の微粒子特性に優れ、これは良好なドライバビリティを生む要素ともなるためキャブを採用しました。」と掲載されているように、キャブにはキャブの良い部分は多数あるのです。確かにキャブは古い昔の技術な上に面倒な事も多いですが、そんなマイナスを吹き飛ばすくらいの魅力があるのも事実なのです。「古いバイクのデザインが好きなんだけど、管理が大変って聞くから迷っている。」と言う方は、ぜひお気軽にご相談下さい。

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